2016年12月20日火曜日

Jリーグに波乱を起こす? 綱本将也/ツジトモのサッカーマンガ「GIANT KILLING」

先日のサッカー・クラブW杯決勝のレアル・マドリードvs鹿島アントラーズは、実に惜しい試合でしたね。

鹿島アントラーズがまさかのジャイアント・キリングを起こすのではないかと期待してしまいました。

結果は残念でしたが、マドリー相手にあそこまで出来れば、残念ではあるけど良くやったと健闘を称えるしかありません。

しかしスポーツの世界では、格上の相手を倒すジャイアント・キリングがたまに起こりますが、Jリーグを舞台にして東京・下町をホームタウンにする弱小サッカークラブ・ETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)が、元スター選手だった達海猛を監督に迎えて大きく変化して行く姿を描くサッカーマンガが、綱本将也さん(作)ツジトモさん(画)の「GIANT KILLING」です。


Jリーグで万年下位に低迷するETUは資金も乏しく、スター選手もいない弱小サッカークラブ。かつて一瞬だけ、天才的なプレーヤー達海猛が所属していた時に輝いたことがあるが、達海がプレミア・リーグに移籍した後はクラブ内のゴタゴタなどもあって、低迷が続いている。

そんなクラブを変えたいと、若いフロント・スタッフがイングランドまで出向いて招聘したのが、かつての絶対的エースで、今はイングランドの地方都市のセミプロ・チームの監督をしている達海猛だった。

移籍直後の故障で、ヨーロッパで活躍することなく引退した達海だったが、ETUを見捨てた選手としてサポーターや一部の選手には敵視されている。

そんな状況の中で、達海はETUを立て直し、ジャイアント・キリングを起こすことが出来るのか?


一見ふざけたような態度の達海ですが、チームを勝利に導くために深く考えています。ただ勝利を目指すだけでなく、選手を成長させ、サッカーによって町の人達をひとつにしようとする。


そんな新監督・達海猛を中心にしたサッカー・マンガですが、ETUの選手、フロント、サポーター、更にJリーガーたちをそれぞれに描いて、とても面白いスポーツ物になっています。





2016年11月11日金曜日

ファンタジィ + グルメ・コミック 九井諒子 「ダンジョン飯」

2016年の「このマンガがすごい!オトコ編」の1位になった風変わりな冒険ファンタジィ・コミックが、九井諒子さんの「ダンジョン飯」です。

突如出現したダンジョンの奥深くには、一千年前に滅亡したはずの黄金の王国が古の魔術師により囚われているという。

その邪悪な魔術師を滅ぼし王国を解放した者には、その財宝全てが与えられると告げられた事から、国中から財宝目当ての冒険家たちがこの地に集まり、ダンジョンに巣食うモンスターを退治しながら地下深くを目指す。

凶暴なレッドドラゴンに襲われ、妹の僧侶ファリンを食べられてしまった戦士ライオスは、食料も装備品も不足している中で、ファリンを救うために再度ダンジョンに向かうが、食糧不足を解消する手段として思いついたのが、倒したモンスターたちを食料として利用することだった。


ダンジョンを進むRPGゲームのような設定のファンタジィでありながら、そこに架空の食材を使ったグルメ・マンガの要素を加えて、仲間たちの滑稽な会話などが楽しいコミカルな作品です。

現実には誰も食べたことがないし、それどころか永遠に食べられない食材であるスライムやバジリスクやマンドラゴラなどを料理するマンガで、これが意外と美味しそうに見えるのが笑える。ただ単に食べることがメインのグルメ・マンガというよりも、全体的にはゆるい雰囲気の冒険ファンタジィで、この雰囲気がまたいい感じです。

それぞれ個性的なキャラクターと、奇抜なモンスターと、おかしなアイテムがユニークで、ユーモラスで独特のアイディアが素晴らしいです。

これからどんな風に展開していくんでしょうかね?見当も付きませんが楽しみです。






2016年11月10日木曜日

貧しい天才少年の成長を描いた感動ストーリー 一色まこと「ピアノの森」

音楽をテーマにしたマンガは沢山ありますし、傑作も多いと思いますが、中でも私が特に気に入っていて、何度読み返したか分からない作品が、一色まことさんの「ピアノの森」です。

全26巻のコミックですが、この作者は筆が遅くてなかなか先に進みません。それでも楽しみにしていた完結編がやっと出てスッキリして、また最初から読み返しました。それも何度も・・・。

私が読んだのは紙のコミックですが、これは家族のものなので、私はKindle版を揃えていこうかと思っています。それくらいの価値はありそう。

物語は「森の端」という歓楽街で街娼の子として生まれた少年・一ノ瀬海が、同じ小学校に転校してきた日本有数のピアニストの息子・雨宮修平と親しくなった事から、事故でピアノが弾けなくなった音楽教師の阿字野壮介の指導を受けて逆境の中でピアニストとしての道を歩む姿を描いた作品です。

どこかユーモラスなところもありますけど、聴衆を惹きつけて離さない一ノ瀬海の演奏が日の目を見ていく過程に素晴らしい感動があり、音楽に打ち込む人たちのそれぞれの姿にも、家族のあり方や人と人との出会いが魅力的で、愛を感じる作品です。

好みはあると思いますが、私はこのマンガが大好きだし、人にもおすすめしたいですね。




2016年10月19日水曜日

中学生のゆるい雰囲気のラブコメ 月子「つるつるとザラザラの間」

家業がペットショップを営んでいる少年・白根環は、男子校の中学に通う内向的で普通の中2生。家の手伝いで、実は大の苦手の爬虫類の世話をしている。

そんな環に何故か一目ぼれした美少女が、環の学校の隣にある女子中学校生の虻川さや。

可愛い女の子だけど爬虫類好きで、爬虫類をペットにしている少し変わったところのあるさやからデートに誘われた環は、ドキドキしながらさやと交際を始める・・・、なんていう、どこかゆるい雰囲気のラブコメが月子さんの「つるつるとザラザラの間」で、今なら第一巻がKindle無償版で読めます。

女の子と話すのも恥ずかしい純情で少し昔風の少年と、個性的で変わり者の美少女との、ゆるいラブコメで、何となくふんわりとする雰囲気のエピソードが続くコミックで、大した事件は起こりませんが、微笑ましくて気持ちが良い物語です。

全4巻で短いし、好きな子と手をつなぐのもドキドキするという環の恋の行方が可愛らしくて、こういうマンガも良いなぁ・・・。

Kindleの無償コミックということで読んでみましたが、案外と拾い物でした。こういうゆるい話って気持ちがササクレなくて好きです。おもわず全巻揃えてしまいました。



   

2016年10月6日木曜日

時間が止まった世界に入れる能力を巡っての争いを描くSFコミック、堀尾省太「刻刻」

「止界」という時間が止まった世界に行き来が出来る能力を持つ一族と、その能力を手に入れようと企む新興宗教団体との戦いを描いたSFコミックが、堀尾省太さんの「刻刻」です。

祖父、父、兄と、仕事もせずに無気力な日々を暮らす佑河家の男たちに呆れる長女・樹里も、28歳にして現在失業中の身。そんなある日、幼稚園児の甥の真が何者かに誘拐される。

身代金を要求した犯人たちが狙うのは金銭ではなく、佑河家に伝えられた時が止まった世界に行ける「止界術」だった。

しかし、この術の事は佑河家の中でも祖父だけが知っている事で、術を悪用する輩にはおいそれと伝えられるものではなかった。

止界の中で、止界術を狙う新興宗教団体「真純実愛会」と佑河家との戦いが始まる。


時間が止まった世界「止界」、そこと行き来出来る一族、止界の中で止まった人間に危害を加えようとする者を襲う「管理人」、怪しい新興宗教の教祖。なかなかの設定で繰り広げられる物語です。

物語が殆ど「止界」の中で進行して、更に佑河家の面々も「止界」について詳しいわけでもなく、登場人物は一部の人物を除けば普通の人間で、それだけに「止界」の異質さが際立っているように思います。

全8巻のSFアクション・コミックですが、一応物語の決着が着いた後日談のような「番外編―300日後―」はKindleの無料コミックとして提供されています。

最近、1巻から全て再読しましたが、やっぱり面白かったですね。





2016年10月3日月曜日

大正ロマンと妖怪マンガを合わせた倉田三ノ路「書生葛木信二郎の日常」

大正時代の東京、小説家を目指す青年・葛木信二郎が祖母に紹介されて住むことになった不思議な洋館「黒髭荘」は、信二郎以外の住人全てが妖怪だった・・・という設定の、何となくゆるい雰囲気の大正ロマン・ファンタジィ・コミックが、倉田三ノ路さんの「書生葛木信二郎の日常」です。

祖母譲りの霊感の持ち主の信二郎は、普通の人間には見えない妖かしの姿が見えて会話も出来るけど、別に妖怪退治とか出来るような能力があるわけでなし、そもそもがこの作品は怨霊退散的な物語でもありません。

「黒髭荘」のかわいい管理人の尋ちゃんは実は化け狸だし、五十嵐さんとか小林さんとかの黒髭荘の住人たちも妖怪だけど、何か悪さをするわけではありません。大正時代の東京で起る妖怪がらみの事件を、信二郎が黒髭荘の住人たちと共に解決していくというようなゆるい物語です。

今なら、2016年10月13日 14:59:59までの期間限定無料お試し版で、全8巻のうち1巻から3巻までを無料で読むことが出来ます。


  


派手なアクションとかを期待している人には向いていませんが、妖怪絡みの人情世話物が読みたい人は楽しめると思います。





2016年9月27日火曜日

障害者に対するいじめの問題から人と人とのコミュニーケーションについて語った大今良時「聲の形」

ジブリ以外のアニメでは初の興行収入が100億円を突破した話題のアニメ「君の名は」の影に隠れたようになっていますが、聴覚障害者のいじめの問題を描き、2015年の「このマンガがすごい!オトコ編」で1位になった「大今良時さんの聲の形」も映画化されてヒットしているようです。

いたずらっ子でクラスのムードメーカーのような存在の小学生・石田将也のクラスに、聴覚障害のある少女・西宮硝子が転校してくる。退屈が何より嫌いという将也には、耳が聞こえないということがピンと来ず、前の席に座った硝子の耳の近くで大きな声を出したりして、些細なちょっかいを出す。

クラスに溶け込みたいと思っている硝子は明るく振る舞っているが、いつしか耳が聞こえない彼女の世話をするクラスメート達から浮き始め、そうしたクラスの雰囲気の中で将也の硝子に対するいじめが始まる。

クラスメートが硝子と距離を置く中でエスカレートしていくいじめだったが、将也が何度か壊した硝子の補聴器の被害額が170万を越して大問題となった時、いじめに気づかぬふりをしていた担任教師が将也を強く叱責し、みんなでやったことだと言った将也にクラスメートたちは反発し、今までの友達に将也がいじめられるようになっていく。

西宮硝子は転校し、障害者をいじめたとんでもない奴と烙印を押された将也は人間不信になり、孤独な高校生になった。

人生を投げた将也は自殺する前に、硝子に謝罪しようと硝子が通う手話サークルの会場へと向うのだが・・・。


いじめの問題から始まる物語ですが、その贖罪の話というよりも、人が人に思いを伝えることの難しさを描いた作品であるように思います。

重いテーマなのですが、それを上手に料理していて、主人公たちを応援して行きたくなるような物語。

以前から気になっていた作品ですが、ちょうど第一巻がKindleで無料で販売されていましたので、早速購入しました。

聲の形(1)無料版

読んで感動して、それからは残りのコミックを一気に購入して一気に読了。

良かったですねぇ。余韻の残る作品です。